
澄んだ夏の物語
研究員Kです。研究員Sから聞いた話を残します。
ここからは博士も知らない情報です。どうか秘密に。
ミカは、平凡な家庭に育ち、愛されてきたゆえか、とても心優しい性格をしていました。その優しさに惹かれる人も少なくはなく、ある日ミカに彼氏が出来たようです。
ですが、その彼氏はとても暴力的でした。殴ったり蹴ったり…時には包丁を持って脅したりしていました。
「やめて、殴らないで」
「何を言ってんだ、お前にはストレス発散と金を出せることにしか価値がないんだよ!」
毎日暴力を振るわれ、金を取られ、
時に甘やかしてきて…つまりDV彼氏、なのでした。
逃げようとすればストーキングと脅し。警察もろくな対応をしない。
嫌気がさしたミカは、とあるものを手に持ちました。
ひとつは、睡眠薬です。
もうひとつは、電気ケーブルでした。
ミカは彼氏に睡眠薬の入ったコーヒーを渡しました。
機嫌がよかったのか「ありがとな」と笑い、それをひとくち、飲みました。
「よかった」
「何が?…あれ、眠くなって…」
ばたん。倒れた音がした瞬間、電気ケーブルを即座に取り。
ぎゅう、と彼氏の首を絞めました。
「おぁ、が、あが、ぁ…!」
「あなたみたいな人なんて…!こうなればいい…!絶対に…!許さない…ッ!」
涙を流しながら、絞めました。
ぴくりぴくり…と動く彼氏の身体に、やりきれていない、と恐怖を感じたミカは急いでとあるものを取りに行くのです。
それは、彼氏がよく脅しに使っていた、包丁でした。
「【データ破損】ねばいい…【データ破損】な【データ破損】 て」
ミカは、それをかすかに動く彼氏に振りかざし_____
それから、それから、ミカは自身の身体の血を洗い流した後…遠く遠くへ逃げました。
逃げている途中で突然目眩がして、倒れてしまい。
起きた頃には、謎の電脳世界に迷いこんでいました。
それが、「清夏イブ」の生まれる経緯でした。
博士:彼女は何故ここにいるのだ?
研究員S:分かりません。敵意はなさそうですし、どうしますか?
博士:まずは放っておいて泳がせておこう。何かが起きるかもしれない。
研究員S:わかりました。